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地域の認知症予防ケア

憧れの田舎暮らしの風景

67歳 女性

夫の退職後は、夫婦の長年の夢だった田舎暮らしをすることに決めていました。

そのための貯蓄もコツコツやってきたので、退職金と併せて水のきれいな山奥の別荘地に小さな終の棲家を購入。

私も夫も山歩きが好きで、連休の度にあちこちの野山に出かけて2人が気に入ったこの土地で余生を送ることにしたんです。

若い頃はともかく、やはりこの年齢での新居の購入や県をまたいでの引っ越しなどは、想像以上のエネルギーが必要で新しい家での生活リズムが整う頃には、夫も私も体重が5kg近く落ちていました

まあ、でもそれも「いいダイエットになったよね」と笑っていたのですが、ようやく生活が落ち着き始めた頃から自分で自分の様子がおかしいことに気付いたのです。

とにかく忘れっぽくなり、身体を動かし始めてから「あれ?私は何をしようとしたのかしら?」と立ち止まってしまったり、お茶を淹れたことを忘れ夫が淹れてくれたと思って「ありがとね」と言ったり…。

夫が言うには時々私の目つきが宙を見てるような、焦点の定まらない状態になっていることがあることを教えられました。

きっと引っ越しで疲れが出たんだろうとしばらく山歩きもやめて、ゆっくり身体を休めることにしたんです。

すると、休んでいるはずなのに身体が重だるくなるばかりで、そうかと思うと「洗濯をしなくちゃ」とか「買い物に行かなくちゃ」と夜中に突然そう思ってしまったりしました。

夫が心配して病院へ連れて行ってくれたのですが、自分のそんな状態を正直に話すのが恥ずかしくて先生にはいろいろと理由を作ってなぜそんなことをしたかなどを話しました。

そうしたら、その病院の先生は地域の人が集まってやっている健康推進教室というのがあるので、そこに参加してみてはどうかと勧めてくださったんです。

もともと人と接したり、みんなでワイワイ何かやるのが好きなので「楽しそうだな」と思いさっそくその週から参加しました。

その教室のプログラムには毎回ボランティアでその道のプロとも言える人が来て音楽や踊りや体操、裁縫や料理、盆栽やガーデニングなどを教えてくれるたいへん為になるカリキュラムばかりでした。

そんな風に毎週2日、その教室に通うことで新しくお友達もできたり、そのお友達の家に呼ばれたりこちらも招いたりして交流の輪が広がっていきました

新しいお友達が増えたことでお喋りすることも多くなり、気付けばあんなに頻繁に起きていた物忘れがまったく気にならなくなり夜中に目が覚めることもなくぐっすり眠れるようになっていました。

夫とも話しているのですが、あれはもしかしたら認知症になりかかっていたのではないかと思い当たるのです。

新しい土地では全てが慣れないことばかりの上、それを気軽に話せる相手もいなくて想像以上に孤独だったのでよう。

認知症の原因は今の医学でも解明されていないと聞きますが、もしかしたら脳が現実を耐え切れなくなると「忘れる」という防衛策を講じるのかもしれないなどと素人の独断で考えたりしています。

でも、せっかく夢の田舎暮らしが実現したのですから、認知症になんてなったら損ですよね。

夫も私も身体と一緒に脳も労わりつつ、これからここでの暮らしを静かに楽しんでいきたいと思っています。